更新後記A![]()

私が「女性成人病クリニック」を開いたのは、1992年12月3日です。
私は医者(循環器内科医)でありましたが、50歳に入った頃から心身の不調、不具合に悩まされておりました。それが更年期障害だなんて、夢にも思っていませんでした。
不調が慢性化していた56歳当時、私はHRT(ホルモン補充療法)の文献を目にしました。その中に、エストロゲン(女性ホルモン)が高コレステロール血症の改善に効果があるという記述に興味を持ちました。実は私も高コレステロールが始まっていたので、循環器科医としてその有効性を自分に試みてみようと考えました。
おそるおそる(本当にそういう感じでした)一、二日服用してみたところ、高コレステロールよりも先に、私が何年間も悩まされていた不調、不具合が、すうっと消えていったのです。その瞬間、「私が悩まされていたのは更年期障害だったのだ!」と悟りました。
私は何十年も超多忙な生活を送っていましたから、心身の不調、不具合は過労と加齢のせいだと思うことはあっても、まさかそれらが更年期障害によるものだなんて、頭をかすめもしなかったのです。
それからいろいろなことを調べ上げ、私は更年期専門のクリニックを開くことを決意したのです。57歳になっていました。
半分引退していたような私の人生は、その時から音を立てて変わっていったのです。
10数年前といえば、世間ではまだ更年期を恥ずべきものと思っていた頃のことです。
医療の側でさえ、更年期障害なんて気の持ちようで治るもの、贅沢病だ暇人病だと考える傾向がありました。
私は決して暇人ではありませんでした。だから、私が更年期障害で悩むことがあるなんて、ちらとも考えていなかったのです。
エストロゲンを扱う医者になることに対しては、産婦人科医でもないのにと不審がる友人もいました。しかし、私は今更婦人科医になろうとしているわけではありません。それに、そのころの私には、婦人科医が必ずしも更年期医療を理解し精通しているわけではないことも分っていましたから、私という確実な一症例を経験して、理屈ではない、体験に基づいた自信に溢れていたのです。
それに、内科医であったことのほうがむしろ有利ではないかと考えました。
更年期世代は成人病(生活習慣病)を発症する世代でもあります。私の循環器科医としてのキャリアは既に30年以上になっていましたし、更年期を経たシニア世代であることは、この医療にはかえってメリットだと考えたのです。
新しい理念を掲げ、私流の医療のスタイルを創り上げていくことは容易な仕事ではありませんでした。無我夢中で過ごした13年間でした。
沢山のことをお客さま(患者さま)から教えていただく日々が過ぎていきました。
開院当初、「この医療を受ける日を待ちかねていました!」と、駆け込んでいらした当時の更年期世代の女性たちを、私は尊敬してやみません。世間の多くの医師たちよりもはるかに早く、彼女たちは更年期のなんたるかを身体で理解していたのです。
お時間がありましたら「更年後記@写真」「更新後記B性差医療」「更新後記C更年期からのうつ」「更新後記Dアナウンスメント」もご覧下さい。(2006年1月)
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